【家にくる?】
あかねからそのLINEが来たのは葉月と解散してからすぐだった。
俺はすぐに通話ボタンを押して、あかねに電話をかけた。
「あかね…何で電話に出ないの」
「…今から来る?」
「話せるなら」
「来てよ」
「わかった」
あかねの家に向かいながら、あの日の事が頭を駆け巡る。
あの夜もし俺があかねを妊娠させてしまったとすれば。
俺は一体どうすればいいんだろう。。。
覚えていないとはいえ、そんな事実を突きつけられて
俺は…
家に着き、インターホンを押すと
「入って」
とあかねは蚊の鳴くような小さな声で応答した。
玄関をあけるとあかねはバスローブ姿だった。
「どうぞ」
「その恰好…」
「こんな夜中に突然来るから」
「ごめん」
「勇太、いつも突然だからね。あの時もそうだったし」
あかねはまた意地悪そうに笑って髪をかきあげた。
「あかね、あのさ。」
「なに?」
「妊娠してるの?」
「…」
あかねは黙ってうつ向いたまま立っている。
「なんか見たの?」
「美緒から連絡があって」
「…ふーん」
あかねは自分のネイルを眺めながら言う。
「妊娠したのか?」
「…うん」
「本当に?」
「そうだよ」
「俺の…俺が酔っぱらったあの日の…?」
「うん。だってそれしか考えられない」
「待って、俺は覚えてない」
「覚えてなくても。避妊してなかったからね」
「マジかよ…」
「ほんとだよ」
あかねはまっすぐと俺の目を見て言った。
「勇太。私たちの子だよ。」
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