私はこの状況を伝えるために、
バイト終わりの勇太を近くのファミレスまで呼び出した。
「ねえ、勇太。ちょっと見て欲しいんだけど」
「どうしたの?」
美緒から送られてきたストーリーを見せる。
「え?何これ‥‥」
「まだ何枚もある」
勇太はスマホをスワイプして、こわばった表情で全部の画像を見ている。
「…これ、あかねのストーリーだよね?」
「美緒が送ってくれてるの」
「‥‥」
勇太は少し黙って、つづけた。
「俺、あれから連絡とるなって言われたんだけど、何度もLINEが来てて。
一度呼び出されて会った。でもちゃんと伝えたんだ。葉月を大事にしたいって」
「そうなんだ」
「それからは連絡は取ってない」
「…」
「どうしたらいいんだろう。俺のせいで…」
勇太はテーブルに肘をつき、頭を抱えてうなだれてしまった。
お互い黙ったまま、時間だけが流れていく。
騒がしい店内の雑音も、その重い空気を打ち消すことが出来ない。
あの日の出来事がなければ、こんなことにはならなかったのに。
勇太を責めたい気持ちと、それでも私を大事にしたいと言ってくれている彼への愛情が交差する。
すると勇太の目の前にある私のスマホに、美緒からのLINE通知が表示された。
【葉月。やばい】
スマホを手に取り、すぐに返事を送る。
【どした?】
【落ち着いて見て。これ】
おそらくあかねのストーリーだろう。
日に日にエスカレートしていく“私へのメッセージ”
今度は何を書いているんだろう。
画像が表示された瞬間、私は目を疑った。
「勇太…」
「‥‥なに?」
私は勇太に美緒から送られてきた画像を見せた。
それは妊娠検査薬が陽性を表す写真だった。
↓つづく
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