あれから勇太とは少し距離を置いて過ごしていた。
勇太の“一緒に居たい”という言葉は信じたいけれど、
怖いのはあのあかねの存在。
【葉月?起きてる?】
お風呂上りに髪の毛を乾かしていると、テーブルのスマホが鳴った。
美緒からのLINEだ。
【起きてるよ。どした?】
【みて。】
続けて画像が送られてくる。
それはインスタのストーリーのスクショだった。
あかねのものだ。
暗い景色の中にまた小さな文字で何か書かれてある。
“なんで私じゃダメ?あんな子どこがいいんだろ”
【いつ?これ】
【さっき。気分悪いかもだけど】
【ううん、大丈夫】
【諦めそうじゃない?】
【そうかな。それならいいけど】
【勇太とはどう?あれから】
【あんまり連絡とってない】
【そっか。私に出来ることあればまた言って】
【ありがとう】
私はため息をついて、そのままベットの上に寝転がった。
それからも毎晩のようにあかねのストーリーは投稿され続けた。
いつも真っ暗な背景に小さな白い文字。
“私が一番彼のことを知ってる”
“大切な関係ってこうやって崩れるのかな”
“一緒に居て幸せなのは私だよね?”
“失って気付けば遅い”
“苦しすぎる片思い”
また次の日の夜も美緒がLINEを送ってきた。
【こんなのあげてたわ】
シーツの写真に、灰色の小さな文字
“あの日の温もり忘れられないよ あんなに激しく求められたのに”
“これで終わらせるなんて無理”
【やばくね?もう色々こわくなってきた】
【私思うんだけどさ】
【何?】
【ストーリー、誰がみてるか分かるじゃん】
【うん】
【鍵付いてても、美緒が見てるのわかってるよね】
【うん】
【わざとだよ絶対】
【葉月にみせるってわかっててやってんの?】
【そういうこと】
鍵付きであのストーリーをあげているけど
あかねはきっと、美緒が私と仲がいいことを知っていて。
わざとこのストーリーをあげ続けてるんだ。
間接的に私に見せつけるために。
↓つづく
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