あれから勇太の連絡は無い。
大切な彼氏が、まさかこんな形で浮気するなんて。
泣きはらした目では誰とも会いたくなくて、月曜日は学校を休んでしまった。
布団の中にうずくまっていると、テーブルの上のスマホが鳴った。
鉛のように重い体を起こして、スマホに手を伸ばす。
【葉月？大丈夫？】
美緒からのLINEだ。
【大丈夫じゃないかも】
【だよね。勇太には？】
【言った】
【そしたらなんて？】
【覚えてないって】
【まじ？】
美緒が続ける
【お酒飲み過ぎたらあかねの部屋で寝てたってこと？】
【わかんない】
【とにかくサイテーだな】
【もう信じられない】
【でも、本当に覚えてないのかも】
【嘘つかないで欲しかった】
【わかる、でもいきなり本当のこと言えないと思うよ】
たしかにそうだ。
美緒が言う通りあの状況でいきなり彼女に本当の事を言える男なんて居ない。
【勇太の話、一回ちゃんと聞いてあげたら】
【葉月が落ち着いてからでいいしさ】
【うん。考える】
私はまたスマホを置いて、布団の中にうずくまった。
（このまま勇太と別れてしまうのかな…）
布団の中で考えれば考えるほど涙が止まらない。
あんなに幸せだった日々が、突然の幼馴染の登場で崩れ去ろうとしている。
私とは正反対のタイプだったあかね。
勇太はどうして、あかねの部屋に行くことになったんだろう。
そしてどうしてあんな写真をとられるような状況になったんだろう。
何度も美緒から送られたあの写真を見返してしまう。
“ずっと好きだったから”ってどういうこと？
あかねは私から、勇太を奪いにきたってこと？
ぐるぐると考えれば考えるほど、憎しみが止まらない。
でもこのまま私が引き下がったとしたら…あかねの思う壺なんだ。
まずは勇太とちゃんと話さなきゃ。
私は勇太にLINEを送った。
【話したい】
そのLINEはすぐに既読になった。
【俺も】
【ずっと話したいと思ってた】
【いま電話する？】
【嫌だ。ちゃんと葉月と会って話したい】
なぜか、勝手に涙がこぼれてくる。
【明日バイトないよね？】
【うん】
【じゃあ、いつものとこでまってるから】
【わかった】
こんな状況でも、ちゃんと向き合おうとしてくれる勇太。
そしてそんな勇太のことが、私もまだ大好きなんだ。
↓つづく
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